ECサイトを訪れたときに、目的のものとは違う商品を買ってしまったり、当初は予定していなかった関連商品を購入してしまったりしたことはありませんか?こうした本当にほしいものだけでなく、潜在的にほしいものとの出会いもさりげなく演出してくれる機能がレコメンデーションです。ここでは、ECサイト運営者なら必ず知っておきたいレコメンデーションの仕組みから導入する際のポイントまで詳しく解説していきます。
目次
1. レコメンドエンジンとは?導入で得られるメリット
レコメンドエンジンとは、数多くの商品やサービスの中からユーザーにおすすめの商品やコンテンツを表示するシステムです。
「レコメンド(recommend)」とは、「すすめる、推薦する」という意味を持ちます。Webサイトで掲載するおすすめの情報や商品、また、それらを表示することを「レコメンデーション」と呼び、この「レコメンデーション」を実現するためのシステムが「レコメンドエンジン」です。
ECサイトで商品を見ていると、「こちらもおすすめ」や「この商品を見た人はこんな商品も見ています」などの表示を見かけることがあります。このように、ユーザーの過去の購入履歴や閲覧履歴などをもとに、ユーザーが興味のありそうな商品をあらかじめ予測して表示するのがレコメンドエンジンの役割です。
ECサイトでレコメンドエンジンを利用することによって、ユーザーは大量の情報の中から自分の求める商品にたどり着きやすくなるというメリットがあります。また、レコメンドエンジンはユーザーだけでなく、ECサイト運営側にもメリットがあるのです。
1.1. 商品の閲覧数が増える
ECサイト運営側のメリットのひとつは、閲覧数が増えることです。例えば、目的のものを購入するためにECサイトに訪れたユーザーが、レコメンドエンジンによっておすすめ商品を提示されたことによって、その商品にも興味を持ち、商品ページへ訪れるということがあります。
本来であればひとつの商品だけを閲覧して離脱してしまうところ、複数の商品を閲覧してもらえるため、閲覧数だけでなく回遊率も上げることができるのです。
1.2. コンバージョン率の向上が期待できる
さらに、そのユーザーが新しく興味を持った商品を購入すれば、売り上げ(コンバージョン)につながります。ユーザーに「このECサイトには自分の好みの商品がたくさんあるな」と思ってもらえれば、リピートユーザーの獲得にもつながります。
特に、取り扱い商品の多いECサイトでは、ユーザーが求める商品を探すことは困難です。そこで、レコメンドエンジンを利用してユーザーの興味を引くことで、閲覧数の増加やコンバージョン率の向上が期待できるのです。
2. レコメンドエンジンの活用
次に、レコメンドエンジンの活用例について見ていきましょう。表示させるページ、シーンによって、おすすめするべき内容が変わります。
例えば、TOPページに訪れたユーザーには、ユーザーの属性をもとにしたおすすめ商品や、ユーザーに関わらず、おすすめしたいキャンペーン商品などを掲載します。商品詳細ページに訪れたユーザーには、その商品の関連商品や、その商品を見た人がほかに見ている商品などを掲載するとよいでしょう。
またカート画面では、商品詳細ページと同様、関連商品などを表示するだけでなく、「合わせ買い施策」として送料無料になるようなレコメンド表示させることもできます。
さらに購入完了ページでは、購入した商品以外にユーザーが興味がありそうなものをレコメンドしてリピートを促します。
このように、画面によってどのレコメンドを表示させるかについて、はじめに検討しておくことが大切です。
3. レコメンドエンジンの仕組みとアルゴリズム
レコメンドエンジンの仕組みには主に「ルールベースレコメンド」「コンテンツベースフィルタリング」「協調フィルタリング」があります。それぞれの仕組みやアルゴリズムについて見ていきましょう。
3.1. ルールベースレコメンドとは?
ルールベースレコメンドとは、「商品Aを購入したユーザーには、関連した商品Bをおすすめする」という仕組みです。「Aに対して何をBにするか」はECサイト運営者側であらかじめ決めておきます。例えば、スマートフォンを購入したユーザーにスマートフォンケースや画面の傷防止シートなどのアクセサリを紹介する、といったことが可能です。ルールベースレコメンドは、キャンペーン商品や期間限定商品をおすすめするケースでよく使われます。
3.2. コンテンツベースフィルタリングとは?
コンテンツベースフィルタリングとは、ユーザーの過去の行動をもとに、商品の属性(ジャンル、ブランド、色、価格等)を利用して商品をおすすめする仕組みです。ユーザーのどのような行動に対してどのような商品を表示するかはECサイト運営者側であらかじめ決めておきます。例えば、「あるメーカーのパソコンの情報を見ているユーザーに対して、同じメーカーの別の機種や、別のメーカーの似たパソコンをおすすめする」など、類似商品を紹介するケースで使われます。
3.3. 協調フィルタリングとは?
協調フィルタリングとは、ユーザーの行動や購買履歴を分析して顧客が好みそうな商品をおすすめする仕組みです。ECサイトで見かける「この商品を見た人はこんな商品も見ています」という表示は、この仕組みによるものです。ユーザーの行動分析をもとに、閲覧や購入をした商品同士の類似度をレコメンドする方法(アイテムベースレコメンド)と、他のユーザーとの類似度をレコメンドする方法(ユーザーベースレコメンド)があります。
このように、レコメンドエンジンにはさまざまな仕組みがあります。画面ごとに、どの仕組みを使ってレコメンドを行うのか考えておきましょう。
4. レコメンドに必要なデータを確認しよう
レコメンドエンジンの仕組みがわかったところで、レコメンドに必要なデータを確認していきましょう。レコメンドに必要なデータは大きく分けると以下の3つです。
・行動履歴
・会員情報
・商品情報
行動履歴データとは、アクセスログや商品詳細遷移へのクリック、カートイン、購入などを指します。会員情報データは性別、年齢など。そして商品情報データには、商品カテゴリや商品価格、色や商品属性などがあります。
レコメンドに必要なデータ
5. レコメンドエンジンの導入目的を確認しよう
レコメンドエンジンは、その目的(KGI)に合わせてどういった商品を表示させるか考える必要があります。例えば、回遊率を上げたいのであれば、ユーザーの趣味趣向に応じた商品をレコメンドしたり、類似アイテムを表示させるコンテンツベースフィルタリングの仕組みを使うのがよいでしょう。
また、「カート画面にルールベースレコメンドでおすすめ商品を表示する」といった場合でも、目的(KGI)が顧客単価を上げることが目的なのか、コンバージョン率を上げることなのかによって、掲載する商品(レコメンドルール)を変える必要があるかもしれません。
このように、レコメンドエンジンを活用する際には、まず目的(KGI)をしっかりと定め、画面ごとにどの仕組みを使ってどんな商品をレコメンドするかについて設計しておく必要があります。
6. レコメンドエンジン導入後に押さえておくべきポイント
レコメンドエンジンの導入には費用がかかります。導入費用に対してどれだけ売り上げを上げることができるのか、その費用対効果に不安があるかもしれません。レコメンドエンジンのサービスはさまざまありますが、例えば「S4レコメンド」では成果報酬も選べるようになっています。成果報酬型であれば、導入の際のリスクを低くできるためおすすめです。
また、レコメンドエンジンは導入すれば完了というものではありません。レコメンドエンジンを導入したあとも、ユーザーの行動や売り上げの変化を見ながら継続的に最適化していくことが大切です。Supershipでは、「S4レコメンド」導入時だけでなく、導入後も継続的にサポートするサービスを提供しています。はじめてレコメンドエンジン導入する際には、長期的な運用も視野に入れ、コンサルティングを依頼すると安心です。
7. まとめ
レコメンドエンジンを導入する際は、その目的に応じて「どのレコメンドの仕組み使って」「どんな商品を」「どの画面で出すのか」といった設計を事前に決めておくことが大切です。
レコメンドエンジンを上手に活用すれば、閲覧数の増加やコンバージョン率の向上が期待でき、ECサイト運営者にとって非常に頼りになる仕組みです。レコメンドエンジンを活用して長期的に売り上げアップを目指していきましょう